Hearts of Iron IV 開発者日記 第231回目を紹介。
今回は戦闘とユニットに関する変更点がテーマになっています。
[記事内の画像はパラドフォーラムより引用]
Hearts of Iron IV 開発者日記 2021年5月5日分(第231回)
冒頭の挨拶
みなさんこんにちは。新たな開発者日記にようこそ!
今日は戦闘とユニットに影響を与えるさまざまな変更について紹介します。
バルバロッサ・アップデートでは、メタ的な部分を少し変えて、いくつかの統計値やその側面なども少し変え、戦車デザイナーをより興味深くやりがいのあるものにしたいと思っています。
高官ボーナスの変更
長い間、高官によるユニットボーナスは人々を混乱させてきました。
ほとんどの人は大隊に適用されると思っているでしょうが、実際にはその対象となるユニット・タイプが 「多数決型」(基本的には加重型カウント)である場合にのみ適用されます。
また、これらのボーナスは重複して適用されることもあり、歩兵、山岳、大砲が同じ大砲が同じ部隊に適用され、意図されていなかったり直感的でない方法で積み重ねることができます。
このシステムは現在では変更され、師団はその構成に基づいてボーナスを得ます。
これは各タイプの非支援大隊の数に基づいたストレートな比率であり、2x砲兵3x歩兵の師団の場合は40%の砲兵と60%の歩兵となります。
大隊はこのため常に単一のタイプとして分類され(複数のタイプでスクリプト化されているものもありますが)、次の優先順位に基きます:騎兵>装甲>砲兵>動力化>機械化>歩兵
例外は砲兵と特殊部隊でどちらもどちらも追加装備として機能するため、上の例で3歩兵師団が山岳部隊であれば、師団も60%の特殊部隊となり、2つのネーベルヴェルファーがあれば40%の砲兵となります。
軍隊の大隊を数える場合(つまり、師団テンプレートだけでなく実際のユニットがある場合)、装備のない大隊はより少なく数えられます。
つまり戦車が半分しかない軽戦車大隊は0.5大隊と数えられます(戦車がない場合は全くカウントされません)。
それでも編成の合計は100%になります(すべての大隊が装備を持たない場合を除く)。
これらを見やすくするために分割ウィンドウに内訳を示すインジケータが表示されます。
戦闘幅
40/20幅のメタ設定を揺るがす取り組みの一環として、私たちはプロヴィンスの地形の戦闘幅に変更を加えました。
プロヴィンスの幅は75から96までとなり、平野部の戦闘幅は90、山岳部の戦闘幅は75になりました。
これらの幅のほとんどは簡単には分割されず、理想的な幅を10の倍数から遠ざけることができます。
都市のプロヴィンスは現在、幅96で「最も広い」ものとなっています。
しかしだからといって最も制圧しやすいプロヴィンスになるわけではありません。
現在では、山地、沼沢地、都市部の補強幅は、プロヴィンスの幅の1/2ではなく1/3になっています。
これはうまくいけばこれらの地方に多少の防衛的なバフを与える一方で、よりオープンなタイルでは私たちのプッシュする力を広げることを可能にするはずです。
これらの変更に関連して私たちはまた、オーバースタッキングペナルティを減らすことを検討してきました。
これにより、特定の州に最適な幅の分割を行う必要性が、ある程度軽減されることを期待しています。
しかし同時に、小国は自国の地形に合わせて分割幅をより適切に特化できるようになるでしょう。
内訳(数値は最終ではありません)
- 平原
- 標準 90
- 増強 45
- 砂漠
- 標準 90
- 増強 45
- 森林
- 標準 84
- 増強 42
- 密林
- 標準 84
- 増強 42
- 丘陵
- 標準 80
- 増強 40
- 沼沢
- 標準 78
- 増強 26
- 都市
- 標準 96
- 増強 32
- 山岳
- 標準 75
- 増強 25
40幅の装甲のような大きな師団が小さな師団に比べて不釣り合いにヒットする主な要因の1つは、戦闘中のターゲティングとダメージが敵の防御力とどのように関連しているかということです。
基本的に大型の師団は防御を突破するために集中的なダメージをより効率的に利用します。
これを解決するために私たちはいくつかのことをしています。
まず第一により広い師団がターゲットになりやすいようにターゲティングに重み付けをしています。
またターゲットを選ぶ際には、より広い師団が常にダメージを集中させるのではなく、より小さな師団にダメージを分散させるようにマッチさせています。
これでもまだ恐らくより強く攻撃する事になるでしょうが、幅の変更やその他の大きな師団の欠点と組み合わせることで、よりばらつきのあるものとなります。
しかし、この部分はまだ完成していないので、今後の展開を見て「バッグ・オブ・トリック」の日記の中で改めて詳しく紹介したいと思っています。
ですが、今のうちに言っておく必要があると思いました😉
そうは言っても、皆さんの食欲をそそるために開発中のデバッグ用マップモードを少しだけご紹介します。
装甲と貫通
現在、敵が貫通できないほど強い装甲を持つことや、敵の装甲を貫通できることの効果は二元的で固定のボーナスが与えられています。
つまり、敵の貫通を阻止するために必要以上の装甲を持つことには何のメリットもなく、また敵の装甲値の1点下に貫通値があることは、貫通がないのと同じくらい悪いことなのです。
つまり物事は二元的だったのです。
戦車デザイナーの登場により、アップグレードへの投資が常に価値あるものであると感じられるようにしたいと思い、装甲と貫通の効果がより緩やかになるように変更しています。
装甲> 貫通
- ユニットは半分のダメージを受ける(現在機能しています)
装甲< 貫通と装甲 > 0.75×貫通
- 半分のダメージから通常のダメージまで、値の差だけダメージを受ける
装甲 < 0.75×貫通
- ユニットは通常のダメージを受ける
例を挙げて説明しましょう:
- 戦車師団の装甲値は52です
- 戦車砲を持った歩兵師団に攻撃されています。対戦車砲の貫通力は60です
- もしこれが古いシステムであれば、この装甲値は価値がなく、全くダメージを減らすことができません
- 今では(60から45の間の)十分近くにあるため、通常の効果の約半分、つまりダメージが約25%減少します
信頼性
戦車の設計者にとって、デザインの他の側面とうまくトレードオフさせるためには、信頼性がよりインパクトのあるものであることが重要でした。そのため、私たちはそれを変える必要がありました(@CraniumMuppetsの信頼性0%の戦車モンスターが世界を征服してしまわないように)。
今では、信頼性は消耗品の損失率だけではなく他の様々な側面にも影響を与えます。
- 信頼性は以前のように消耗による損失に影響します。
- 信頼性は移動時の組織の回復に影響を与えるようになりました。
またまた天候に関連した組織の効果が低い場合にはその影響が大きくなります。 - 信頼性が低いと、天候の影響がすべてスケールアップするため、極端な天候に直面した場合、信頼性の低い機器を装備したユニットは、これらの天候の影響をより多く受けることになります。
- 信頼性の高いユニットは戦闘終了時に一定量の戦車などを取り戻すことができます。これは、信頼性の高いシンプルな構造のほうが戦場での修理がしやすく、ダメージを受けても壊れにくいことをシミュレートしています。
つまり、戦闘中に敵の装備を鹵獲するのと同じようなものですが、逆の場合もあります。
我々の目標は、これが装備を設計する際に興味深いトレードオフを生み出すことであり、ロシアの冬や北部のアフリカやジャングルのような悪天候や厳しい地域で運用する際にスピードと火力に焦点を当てた戦略を信頼性に切り替える価値があるかどうかを検討する必要があります。
それと、今のうちに言っておくべきだと思ったのですが、将来的には天候の変化やその他のクールな関連事項についての開発者日記も予定されていますので、今回の変更が完全に独立したものではありません。でも、一歩ずつ進んでいきましょう😊
でもその前に、スタジオについて少しだけ触れます…。
Studio Gold
皆さんこんにちは。
私の名前はトーマスですがここでは@Besuchovの方でよく知られていると思います😊
こちらでご覧いただけるように、私たちは最近組織を少し再編しストックホルムの大規模な集中型スタジオから、レッド、グリーン、ゴールドのスタジオに分割しました。
これは主に社内組織のシフトであり、成長する組織が良いゲームを作ることにしっかりと集中していることを確認するためです。
短期的にはあまり多くの違いには気づかないかもしれません。
私たちはまだParadoxスタジオにてクラウゼヴィッツ・エンジンでグランドストラテジーゲームを作っていますが、これは各スタジオを特定のゲームに合わせることができることを意味します。
たまにスタジオの名前を聞かれるので、私が誰でスタジオが何を担当しているのかを伝えたかったのです。
私の役割はスタジオ・マネージャーです。
つまりStudio Goldの長期的な成功や、管理、スタッフ配置、長期的な計画などに関する責任を負っています。
Studio Goldは、Hearts of Ironをメインテーマにしています(ただし、他にも秘密のものがあるかもしれません)。
ゲームを直接作るのはPodcatとチームの仕事ですが、最高のゲームができる環境を作るために全力を尽くします。
私にとってこれはパラドックスでの一巡することを示します。
私は2004年にプログラマーとしてスタートし、最初の仕事の一つはHearts of Iron 2について働くことでした。
それ以来、Hearts of Iron 3(とVictoria 2)のリードプログラマ、EU4のプロジェクトリード、そして最近ではParadoxスタジオのスタジオマネージャーなど、様々なことをしてきました。
EUの次にHOIは私のお気に入りのゲームであり、私がより少ないゲームに集中できる場所、そしてそのゲームがHearts of Ironである場所に戻ってきたことを喜んでいます。
私は主にゲームに取り組んでいるチームの後塵を拝していますが、今後は私の事をより多く目にする機会もあるでしょう。
今日は以上です。また来週の開発者日記を楽しみにしていてください!
以上
振り返り感想
今日は師団とそれに伴う各種ボーナス等の数値が色々と変更になるという内容でした。
色々と良い方向に向かうように調整が入っているようなので期待したいですね。
なおParadoxスタジオの3分割ですが、本文中でも紹介したリンク先の文章を見ると
- Paradox Studio Green:Stellaris
- Paradox Studio Red:CK3
- Paradox Studio Gold:HoI4
の担当だそうです。
そしてリリース時から色々と問題になってるImperator:Romeは現在どのスタジオにも所属していないとのこと。
Paradoxが言うには、まず今は上記3つのタイトルに注力したくて、IRについてはその後で割り振りをする、IRは開発チームを再編成して継続して開発を続ける―とのことですが、実態は果たしてどうなるんでしょうか。
それから、PodcatさんがGoldのリーダーじゃないのはおかしいのでは?というコメントをしている人がおり、それに対してPodcatさん自身が返答しており、
自分はゲームを作って楽しいことをします。
トーマスはスタジオに必要な予算や人員といった退屈なことをやります。
とコメントしてるのが面白かったです(笑)
正確を期すよう努めていますが詳細はパラドックスサイトの原文をお読みください。