HoI4 開発者日記 第251回 ローディング画面のアート等 2021/10/27

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更新情報

Hearts of Iron IV 開発者日記 第251回目を紹介。

今回は新ローディング画面の製作過程についてです。

以下、パラドックスフォーラムの内容を意訳したものとなります。
正確を期すよう努めていますが詳細はパラドックスサイトの原文をお読みください。

[記事内の画像はパラドフォーラムより引用]

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Hearts of Iron IV 開発者日記 2021年10月27日分(第251回)

今回の日記担当はHoI4 リードアーティストのThe Real Timorさんです。

今回の日記ですが、グラフィック(および芸術)に関する技術的な事も含まれており、私の理解の及ばない箇所がありましたのでできる範囲で紹介したいと思います。
ご了承ください。
またParadox社内製以外の画像については引用して良いのか判断がつかなかったので掲載は見送りました。

冒頭の挨拶

HoI4ファンのみなさんこんにちは。

私はあまりフォーラムには参加していないので、ほとんどの方は私のことを知らないと思いますが、HoI4のアートリードを務めています。

今日はちょっと特別な開発者日記をお届けします。
以下はHoI4の2Dアーティストが作成したもので、新しいローディングスクリーンに投入される作品の作業過程を垣間見ることができます。
皆さんが興味を持って楽しく読んでくれることを願っています。

それでは、アーティストに話を聞いていきましょう。

新ローディング画像

The Krojanty Battleをテーマにしたローディング画面です。
1月の時点のアーティストによるものです。

アーティストは何から始めればいいのでしょうか?
まず第一に、壮大な外観のローディングスクリーンを作るために最も重要なものを集めるツールが必要です。それはリファレンスボードと言います。
弊社のアーティストが使用しているのはPureRefというツールです。
画像を記録し整理やカスタマイズが簡単にできます。
そしてもちろんフォトショップで描くこともできます。ツールの中で最も重要なものを忘れてはいけませんね?

道具が揃い、アーティストの準備が整い、机の上に「早朝、休んでいるドイツ兵を襲うポーランドの騎兵」というプロンプトが舞い込んできました。
グーグル検索の時間です!

ミリタリーシーンを専門に描いていたJersy Kossak氏のイラストをご存知の方も多いでしょう。
これは当社のアーティストが最初に見つけた画像の一つで、すぐにPureRefに保存して後で使用しました。

壮大でクールではありますが、まだあまりにも不正確です。
しかしこれはまだ始まりです!

さらに調べてみると、アーティストがこの戦いを再現した映画を見つけました。
もちろん正確なものではありませんが、ポーズや雰囲気、構図などは素晴らしいものでした。
また、その映画は予告編やメイキング映像のみを利用可能としていましたが、それでもアーティストは諦めません。
スクリーンショットを多用しましたが後悔はありません。

※以下映画のスクリーンショットは著作権の取り扱いが不明なので画像は割愛します。

もちろんアーティストは1つのソースにこだわることはできません。
Googleをもう一度検索してみると、今度はさらに感動的なシーンを見つけコレクションを増やしていきました。

おもしろいアングルやポーズ、おもしろい雰囲気や光でいっぱいになったPureRefを前に、アーティストはサムネイル化と呼ばれる作業を開始します。
これはつまりアーティストがクールな戦闘を描いたローディング画面のために、集めた参考資料の助けや指導を受けながら、素早く、見やすくなるように提案を行います。
実は”thumbnailing”という言葉は人間の親指の爪の大きさを意味しており、17世紀には小さなイメージを表す言葉として使われていたというから驚きです。
ちょっと気持ち悪く…ちょっと正確ですが…。
次はPodcatとArchangel85が選んだサムネイルです。

はい、とても醜いものです。しかし時間をかけずに作れるのがいいところです。
サムネイル化には様々な方法がありますが、弊社のアーティストは通常グレースケールを使用しています。これは、シーンの中の階層をすぐに把握できるようにするためです。
例えば最も暗い部分は最も視覚的に興味深い部分で、最初に見てもらいたい部分であり、明るい部分は二次的でありそれほど重要ではありません。
ここではチームとのコミュニケーションを容易にするために、アーティストがA-B-C-Dの選択肢を与えてくれています。
最も正確な表現を提供するためにチームとのコミュニケーションには常に明確なアドバイスが必要です。
またイラストを正しい方向に導くための進捗状況を示すこともよくあります。

というわけで、Work In Progressの段階が始まります。
ここで紹介する最初のWIPはPodcatとArchangel85がアーティストと一緒に行った、最初の「きれいな」サムネイルです。
彼らは動きの方向を左から右に変えることを選択しました。これは私たちがものを読み取る方向であると同時に、イメージに視覚的な深みを与えるため前景にもう一人の騎兵を追加しました。

WIPシリーズの次の段階はカラーです!私たちはイラストが時間的に正確であることを望んでいましたが私たちは何を知っているでしょうか?
騎兵隊は早朝に攻撃したことがわかっています。
ドイツ兵が森の近くでキャンプしていたこともわかっています。
騎兵隊がそこを通ってきたこともわかっています。
しかし、どのような感覚が最も興味深く/感動的だったのでしょうか?
私たちのアーティストは2つのカラーバリエーションを作りました。

朝の涼しいトーンでより正確な時間

そしてこちらは、よりロマンティックで日の出のような雰囲気です。最終的にはこちらにしました。時間帯は違っても、こちらの方がHoI的で、私たちが表現したいものに近いと感じました。

イラストのトーンや雰囲気を考えた後、アーティストはキャラクターの定義を始めました。
現時点では彼らはただのぼかしや滴であり写真そのものでもあります。

この段階でアーティストは背景にドラマを追加する方向に進みました。
HoIのアートリードからの指示を示すために、新しい輪郭線がペイントオーバーで追加され風景がより明確になりました。
この段階でアーティストは突然増えてしまった兵士たちをより鮮明にし始めました(遠くからはあまりにも難しいことをしようとしすぎた事に気が付いたアーティストの悲しげな声が聞こえてきます)。
しかし、スウェーデン語で言うところのSkam den som ger sig!(屈する者は恥を知れ!)なのです。

そしてその通りになりました。
あの歯車は時代的に正確だったのか?あの木箱は本当に使われていたのか?あの異常に大きいテントは何だ?なぜ白なんだ?不思議だ…。
そうそう、PureRefで集めたものが時代に合わないことに気がついた悲しいアーティストの声が再び聞こえてきました。
何かをやり直さなければならないことに気づいたのだです。
アーティストが「愛する人を殺して」生きるのには理由があります。悲しいですが本当の事です。
しかしそれはとても良いことでもあります。
時には何かを修正する最善の方法は、最初からやり直すことだと理解しなければなりません。
もちろん今回はそうではありませんでした。しかしそれでも大規模な再塗装が必要でした。

またJamor氏のおかげでイラストレーターのために適切な参考資料を提供していただき、恥ずかしいイラストにならずにすみました。
これで私たちはどこかに向かっているはずです!
ノイズの多い背景要素が取り除かれたのは、それがあまりにも気を散らすためであり、これまでは完全にそうではありませんでした。
サムネイルを見てください。そう、爆発がいきなり主役になってしまっていたのです。馬を主役にしましょう。
そしてこの段階でキャラクターがより明確になり、背景もより絵画的になりました。

さて私たちはついにこれらがようやく一つにまとまり始めた場所へとたどり着きました!
見た目は壮大で雰囲気は英雄的で今にも戦いが始まりそうな雰囲気が漂っています。そこでこの作品と同じ感覚とスタイルを維持するため、他のローディングスクリーンがどのように作られてきたのか初心に戻ることにしました。
古いローディングスクリーンの束を手に取り、使用されているブラシストローク、テクスチャー、カラーを研究しました。

さあ、イラストに戻って!
より多くのテクスチャが追加され、古いスタイルをミラーリングしたり、前景や中景に加えて、キャンプの内容や周囲のディテールが追加されています。
何人かの兵士達には死んで横たわる代わりに新しい仕事を与えました。
誰かが今キャンプを守っており、何人かの兵士達は、テントから這い出ていきます。私たちのアーティストはキャンプを使う事で「パニック」の感覚が視覚化されることを望んでいました。

ここにきて、イメージ全体のバランスを整えるために実際よりも地面をかなり高くすることが決定されました。
またこの段階でアーティストがリードアーティストやアートディレクターと一緒に画像の品質をチェックしました。
これはもっと早い段階で行うべきだったと思いますが、忘れた頃にやってくることもあるのでその点は注意が必要です。
運良く、問題が少し発見されました!
例えば野営のキッチンで最も暗い部分をフィールド内の位置に合わせるには暗すぎたため、アーティストが値を明るくして画像内の位置に戻さなければなりませんでした。

この段階で何が行われていたかを専門的に説明する必要はありませんが、簡単に言えばアーティストは信憑性を感じさせるためにコントラストをチェックしていました。手前にあるものが一番暗く奥に行くほどコントラスト値が下がるようにします。
野営のキッチンの例ではこの信憑性に欠けていました。
最も暗い部分が手前の馬と騎兵の最も暗い部分と一致しているため、位置がずれているように見えたのです。
白と黒の調整レイヤーを反転させることで色に惑わされることなくシーンを素早く見渡することができました。
グレースケールのフィルターをオン/オフすると、画像に新しい視点と光を与えることができるので便利です。

“最後の修正”の最終段階、いよいよです。
ここでアーティストは、画像の最後の10%を仕上げるために作業を始めました。
実は最後の10%というのはイラストレーションの中で最も長く、最も退屈な部分と言われています。
ここではすべてのキャラクターにディテールと生命力を加え、背景とイラスト内の光を調整し微調整を行っています。

参考資料の収集からサムネイルの作成、そして最終的な完成まで、約3週間を要しました。
そのうちの2週間は後回しにし、残りの日数はアーティストが優先しなければならない他の仕事の合間を縫っていました。

私たちのアーティストは本当に素晴らしい仕事をしてくれましたし、そして彼らがこれほど大きなアート作品を制作したのはこれが初めてである事が信じられるでしょうか?
HoIでの彼らの通常の仕事は、押したり見たりするのが好きなアイコンやボタン、あちこちにあるいくつかのポートレートを作ることであり、これは彼らにとって実際に挑戦的な事でした。
しかし、少なくとも彼らは(苦しみがあっても、正直に言って…苦しみがなかったら、芸術家とは何であろうか)楽しんでいたし、チャレンジも楽しんでいたし、何よりもローディング・スクリーンが提供する体験も楽しんでいたことは言うまでもありません。
そしておそらく将来また別のローディング画面を見ることになるでしょう。

でも、その前に、私たちのアーティストからあなたへのちょっとしたミームがあります(アーティストはアーティストでありプログラマーではありません)。

ポートレート等新画像

No Step Backで期待できる新しいポートレートをいくつか紹介しましょう!

この他にもたくさんの作品があります😉

また、今後実装されるフォーカスアイコンや実績アイコンの一部を紹介します。

さて…今のところ、私たちからのお知らせは以上です。
皆さんがNo Step Backをプレイするのを楽しみにしているように、私たちもNo Step Backをプレイするのを楽しみにしています。

最後にもう一つ。

今週はNo Step Backを特集したストリーム配信が始まります!
そこでは新しいフォーカスツリーの動きを初公開します。
最初のストリームは本日(27日)16:00 CEST、通常のHoIウィークリーストリームの枠内で行われます。


以上

振り返り感想

今回は新しいローディング画面(画像)の制作過程についての日記でした。

肝心のNo Step Backですが、先日Paradoxフォーラム内にリリース予定日の紹介が出ていました(当サイトで別途記事は作っていません。ご了承くださいm(_ _)m)

記事内で正確な日付を書いていないため分かりにくいですが、予告ムービーを見ると11月23日にリリースのようです。
あと1月を切っていますのでもう間もなくという感じですね。


管理人の体調コーナー

体調は明らかに良くなっていて、もうあとちょっとというところまでやってきました。
その「もうあとちょっと」がだいぶ長い間続いている気もしますが現時点で95%ぐらいの感じです。といっても感覚的なものなのですが。

これが日によって多少落ち込んだり回復したりを繰り返しているので全快まではもうしばらくかかるんだろうと思います。

焦っても仕方ない&結局原因がわからないのでどうしようもないため、日々をしっかり過ごすことぐらいしかできることはなさそうです😥