Hearts of Iron IV 開発者日記 第269回目を紹介。
今回はゲームに新しく実装される航空機デザイナーについてです。
[記事内の画像はパラドフォーラムより引用]
Hearts of Iron IV 開発者日記 2022年8月3日分(第269回)
冒頭の挨拶
こんにちは。
来るBy Blood Alone DLCとVer 1.12パッチに関した新たな開発日記へようこそ。
チームは夏休みから戻ってきて、今はバグを直したり、新機能とフォーカスツリーのバランスを微調整したりしています。
今日は、Plane Designer(航空機デザイナー)を取り上げます。
いつもの事ですが、この開発日記中の数値は今後変更される可能性があります。
航空機デザイナー
No Step Back DLCにTank Designer(戦車デザイナー)を搭載すると発表すると同時に、航空機デザイナーは開発チーム内、コミュニティ両方にて話題となりました。
特にイタリアの航空産業は非常に発達しており、戦争中最高の戦闘機のいくつかを生産していたため、イタリアのフォーカスツリーの再構築とうまくかみ合うと考えたのですー実際にはイタリアは、生産能力を欠いていたので上手くは行きませんでしたが。
私たちはまた、航空機デザイナーは利用可能な航空機のラインナップのギャップを埋めるのにも役立つと感じました。
何年にもわたって多くの国が爆弾を運ぶことができるように戦闘機を改造したり、魚雷を運ぶために戦術爆撃機を改造したりしているという事実については多くのプレイヤーから指摘されています。
航空機デザイナーの大きな目標の1つは、このような多機能な航空機を実現することでした。
それと同時に、私たちはこれらの多機能航空機をあまり強力なものにはしたくありませんでした。
むしろ1つのミッションに最適化された飛行機の設計こそが、複数の役割を持つ飛行機よりも効果的であるはずです。
多機能航空機が柔軟性を持つのに対して、最適化された設計こそが最高のパフォーマンスを発揮するのです(余裕があれば)。
航空機デザイナーの基本内容はShip DesignerやTank Designerをご存知の方なら、おそらく驚かれるようなことはないでしょう。
ベースとなるのはairframe(エアフレーム:機体)と呼ばれるもので、船や戦車デザイナーの船体やシャシーにほぼ相当するものとなっています。
エアフレームにはいくつものモジュールスロットがあり、最終的なデザインに実際のステータスを与えるモジュールを入れることができます。
エアフレームには3つの異なるサイズクラスがあります。小型、中型、大型の3種類です。
小型機には、空母搭載可能な機体も存在します。
航空機デザイナーのモジュールスロットの種類はTank Designerと若干異なっています。
スロットは事実上3種類しかありません。それはエンジン、武器、そして特殊モジュールです。
エンジンモジュール
エンジンモジュールは、おそらくこの中でも最もわかりやすいものでしょう。
このスロットが使用するエンジンの種類を決定し、別の統計により速度が決まる戦車とは異なります。
航空機デザイナーのエンジンモジュールこそが航空機に搭載されたエンジンの数と出力を決定するのです。
これらのエンジンモジュールはThrust(推力)という新しいスタッツ(要素)を生み出します。一方、他のすべてのモジュールはWeight(重量)という別の新しいスタッツを生み出します。
この2つのステータスが機体に搭載できるモジュールの種類と数の制限要因になります。
重量が推力を上回らない限り設計は合法です(現実に推力/重量比が1以上の飛行機は現代の高性能戦闘機だけだと指摘する人がいるかもしれないが、そういう人は即座に無視します)。
余剰推力は余剰速度に変換されます。
これは設計においてすべてのモジュールスロットを埋めない意味合いを提供することを目的としています。
ここで注意すべきことの1つは、ジェットエンジン(とロケットエンジンを搭載しています。)はこれらのエンジンスロットの一部であり、すべてのタイプの飛行機で使用できることを意味します。
これは必然的にジェット戦闘機や他のジェット機がもはや独自のユニットタイプではなくジェットエンジンを搭載した戦闘機であることを意味しています。
ジェット戦闘機はしたがって、通常の戦闘機の翼を強化し、また、ジェット空母機、ジェットCAS、ジェット重戦闘機などを効果的に航空機デザイナーで作ることができるようになりました。
武器モジュール
武器(ウエポン)モジュールもまた、かなりわかりやすいものとなっています。
しかし武器モジュールはAir Attackのような攻撃的なデータを提供する以外にも2つの主要な機能があります。
1つ目は、武器によって設計された機体がどのようなタイプになるかを定義することです。
このため航空機デザイナーには主要武器スロットというものがあります。
このスロットのモジュールは、最終的なデザイン形成の役割、すなわち戦闘機、CAS、海軍爆撃機などを定義します。
これは武器モジュールが、デザインによってどのようなミッションが利用できるようにアンロックするかについて関係しています。
つまり、機体の種類によるミッションの厳密な区分けはなくなるということです。
搭載するモジュールによって地上支援が可能な戦闘機や、海上攻撃が可能な戦略爆撃機を作ることができるようになります。
もちろんいくつかの制約はあります。例えば戦略爆撃機は制空権ミッションの解除に必要なモジュールを搭載することはできないなどです。
私たちはプレイヤーにデザインを高いレベルで分類するための簡単な方法を提供したいと考えていました。
その事はまたデザインが実際に何であり、どのように使用されるべきかをAIに伝えることをはるかに簡単にします。
ドクトリンを考慮に入れなければ、例えば、メイン武器スロットに4つの重マシンガン、サブ武器スロットに爆弾を搭載した戦闘機と、メイン武器スロットに爆弾を搭載しサブ武器スロットにマシンガンを搭載したCASとの間に統計上の違いはありません。
しかし一方は戦闘機の区分に入り、もう一方はCAS航空機に区分されます。
以下に武器の全リストと、それらがアンロックするミッション、そして主要武器スロットに装着した場合の機体の分類を示します(バランス調整はまだ進行中のため、ステータスは省略します)。
ネタバレを見たくない方はご注意ください。
※画像クリックで表示するようにしています。
これらの武器の一部は(作り直された)航空テクノロジーツリーでアンロックされますが、戦車の兵器が様々なツリーで見つかるのと同様に、一部はツリー外でも見つかります。
航空テクノロジーツリーの技術の総数が実際に減少していることに注意してください。
注目すべき点はこれらのモジュールの多くが、特定のミッションにのみ異なるステータスを提供することです。
真の多機能航空機に意味を持たせるため、私たちはミッションのセットが混在するデザインを構築することで、そのうちの一部において役に立たない機体にならないようにしたいと思いました。
爆弾をぶら下げると機体の敏捷性と速度が低下しますが、CASミッションをこなす戦闘機が制空権ミッションで役に立たないということはありません。
したがって重量と敏捷性のペナルティは、戦闘機が実際にCASミッションに参加する場合にのみ適用され、制空ミッションに参加する場合には適用されません。
特殊モジュール
最後にいわゆる「特殊」モジュールスロットがあります。
これらは事実上、さまざまな項目を包括する用語であり、その一覧を以下に示します。
ネタバレを見たくない方はご注意ください。
※ぼかしている箇所をクリックすると表示されます。
特殊モジュールは主に、さまざまなミッションのために航空機を最適化したり、航空機にさまざまなニッチ要素を与えたりすることを目的としています。
鋭い方々はすでに、航空機は現在、水上と潜水艦の探知能力があることに気付いているでしょう。
これまで海の領域で活動している航空機には、海の領域で活動している海軍の発見速度に対して常にフラットなボーナスを提供していました。
しかし今後は状況が変わるでしょう。
航空機には、海軍の特定にどれだけ役立つかを判断するためのデータが提供されるからです。
Air-Ground RadarやFlying Boat hullなどのモジュールがあり、海軍の捜索活動にボーナスを与えます。
バニラの航空機はすでにそのような(海軍の探索に対する)統計値を持っており、いくつかは他よりも優れていますー例えば空母の航空機は、地上に対応する航空よりも優れており、海軍爆撃機は、戦闘機よりも優れているなど。
これをさらにサポートするため、私たちはさらに2つのものを追加しています:それは専用ユニットタイプとしての海上哨戒機と、適切なモジュールを搭載した航空機のための特別な海軍哨戒任務です。
海上哨戒機は大型機体で構成されており、非常に優れた航続距離を実現しています。彼らは海軍爆撃機のすべての武器を搭載することができますが、海軍への攻撃については真の彼らの主な役割としては意図されていません。
海上哨戒機はより小型で航続距離の短い航空機がミッション効率を上げるのに苦労している深海でのレーダー探知を支援することを目的としています。
航空機のアート要素
最後にアートについて少しお話しましょう!
すでに様々な機種の歴史的なアートが大量にありますが、制作メニューで機体デザインをより簡単に見つけるためにだけであっても、デザインを視覚的に区別するためのオプションを増やしたいと思いました。
戦車デザイナーについては、既存のアートを分割して様々な組み合わせに組み替え、大量のアセットを素早く生成するようにしました。
しかし航空機デザイナーの場合、これではうまくいかないことに早い段階で気づきました。
そこで既存のアート間のギャップを埋めるとともに、飛行はしたものの歴史的には量産が見送られた試作機のアートを追加することにしました。
またさらに3Dアートを追加することにしました。
戦車デザイナーと同様、これらのアセットは飛行機を設計するときに選択できます。我々は約80の新しい航空機用の3DモデルをDLCに追加していますが、将来的にはさらに追加していく予定です!
おわりに
今週は以上です。
私たちが楽しんで作ったのと同じくらい、皆さんが航空機デザイナーで遊んでくれることを願っています。
個人的なメモでこの開発者日記を締めたいと思います。
航空機デザイナーは、Hearts of Iron 4に対する私の最後の貢献になります。
初期のTogether for Victory DLCの頃から6年近くこのプロジェクトに携わってきた私に、会社を離れ緑豊かな牧草地へと向かう時がやって来ました。
この2年間は本当に波乱万丈で実り多いものでしたし、誇りに思っていることもたくさんあります(冗談でオーストリア=ハンガリーを追加したら、人々が君主制を好むことがわかったなど、後悔していることもいくつかあります)。
今から20年近く前にHearts of Iron 1がリリースされたときから、Hearts of Ironシリーズに携わることは、私にとって常に夢のようなことでした。
私と同じくらいエンターテインメント作品に携わり影響を与えたと言える人はほとんどいないでしょう。
しかし私が最も誇りに思うのは私たちが作り上げたチームです。
Hearts of Ironはとてもよくできており、まだ何年もリリースされるコンテンツが残っています。
私もそれらを楽しみにしています。しかし今後は一人のプレイヤーとしてになります。
品質管理部が思いついた奇妙なデザイン集:
※画像クリックで表示するようにしています。
この1機で戦車小隊全体を打ち負かしますが、残念ながら方向転換することができません。
そして、飛行機に搭載できる爆弾倉の数を制限しました。
エンジン6基、キャノン8基、砲塔にキャノン4基、製造コストは戦略爆撃機より50%高い。言うまでもなくこの組み合わせはもはや不可能です。
スピットファイア・マークIの武装を見て、でも、もし…もっと銃があったら…?
以上
振り返り感想
航空機デザイナーについての日記でした。
本文でぼかし処理がしてある箇所があり、そこをどうするかで悩みに悩んで一応画像とテキストをCSSでぼかすようにしました(これに長時間かかって苦労した)😥
ホントは最後のNG集?のテキストもぼかし対象なんですが、ここまでぼかすともうなにがなにやらになる&じゃあいつもみたいに画像に説明文書いたら良いのでは?ってなると思うんですが、説明テキストって画像拡大した時に見えない…という事でのでやむを得ず中途半端な体裁になってしまいましたがご了承下さいm(_ _)m
さて今回で長い間HoI4開発に携わってこられたArchangel85がParadox社を辞めるとのこと。
文面だけではリタイア生活なのか牧場経営に取り組まれるのかはわかりませんが、Archangel85さんの新しい暮らしが良いものになることを願うばかりです(-人-)
HoI4開発スタッフの夏休みは終わったとのことで、どうやら今後は日記が通常ペースで継続しそうですね🥵
まだまだ暑い日が続いており、日記が公開された当日に記事作成して深夜に公開まで持っていくのはちょっと難しいので、今後も少し遅れた公開になると思います。
ご了承下さいm(_ _)m
正確を期すよう努めていますが詳細はパラドックスサイトの原文をお読みください。