HoI4 開発者日記 第276回 アート&実績 2022/9/21

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更新情報

2022/9/23 誤字脱字を訂正し、一部投稿中の体裁を整えました。
また感想欄についに公式日本語化が実装される件についても記述。


Hearts of Iron IV 開発者日記 第276回目を紹介。

今回はBy Blood Aloneに合わせて導入されるアート要素と実績についてのお話です。

以下、パラドックスフォーラムの内容を意訳したものとなります。
正確を期すよう努めていますが詳細はパラドックスサイトの原文をお読みください。

[記事内の画像はパラドフォーラムより引用]

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Hearts of Iron IV 開発者日記 2022年9月21日分(第276回)

今回の日記担当はHoI4 2DアーティストのCreamGeneさんです。

冒頭の挨拶

こんにちは。今週の開発者日記へようこそ!
私はHoI(4)の2Dアーティストで、小さなボタンやアイコンなど、皆さんが見たり押したりできるものを作っている人です。
そして今日は私の作品について話す機会を得ました!
ではまず最初に、プロジェクトはどのように始まり、アーティストはいつどのように関わるのか?から始めましょう。

HoI4アーティストとMiro

Hearts of Ironのようなプロジェクトでアーティストになるのは簡単なことではありません。
気を引き締め、同僚が解決したいと思っているタスクに適応できるようにしておく必要があります。
通常はちょっとしたテキストと大量の参考資料が必要です。
これらを集めるためにMiroというツールを使います。

これは基本的にオンラインのホワイトボードであり、利用者やそのチームに最適な方法で活用することができます。
私たちのMiroでは機能を列に分割して、次のアップデートのために完成させる必要があるものを簡単に概観できるようにしています。
列は通常、フォーカスツリーとプロジェクト中にアートを必要とするであろうと予想される機能とに分けられています。
プロジェクトが始まるとMiroに少し空きが出ることも珍しくありません。
アート的に何が使えるかを調査する事は、著作権で保護された写真もあるためかなりヘビーな仕事になります。
当社の優れたコンテンツデザイナーは、価値ある研究に多くの時間を費やし、ゲームを理解するために必要なものを整理し、ゲームプレイに風合いを加えます。
そしてもちろんHoIをプレイする際、プレイヤーに適切な内容を伝える画像に関してだけではなく、すべての貴重な情報を収集するためかなりの開発時間をかけています。

時間が経てば経つほど、Miroボードにはアート関連の仕事が増えていきます。
例えばプロジェクトを始めたばかりのアーティストの場合、古いアイコンやポートレートをクリーンアップする作業から、ロード画面の作業、好みに合わせてDLCのMiroボードの設定を続ける作業、他のプロジェクトでアートの手が必要な場合の手伝いなど、対象は様々な範囲に及びます。

さて、BBA(By Blood Alone DLC)と私たちの仕事の話に戻りましょう。
各フォーカスツリーにどのようなアートを用意するかはすでに決まっていますが、現時点では数量に変動があり、自社でどれだけ作れるかはまだ不明です。
というのも、私たちは常に優先順位をつけて、最も重要なものから優先的にアートを提供するようにしているからです。
重要性の高いアートの作業がすべて終わったら、時間が許す限り中程度そして最後にもちろん低程度の作業内容を続けます。
またタイムリーに作品を完成させるために、wish-list(ウィッシュリスト)もしくは恥ずべきものと呼ばれる特別なセクションを設けています。
これは基本的に低重要度のアートですが、フィーチャーやツリーに新しいテクスチャが施されたら更に素敵になるだろうなと、後回しにされたり忘れられたりしていたものです。

ここではあまり詳しく説明しませんが、私がアーティストとして作業するMiroのボードがどのようなものであるか、大きく拡大したものをお見せします。
そうそう、このDLCのフォーカスツリーと素案デザインはすべて私が担当しました(もちろんすべてのアートを私が作ったわけではなく、外注もしています)。

私たちはボード上で何が起こっているのかを伝えるためにカラーコードを使用しています!
またすべてのボードには重要度を示す小さなスタンプと、コンテンツデザイナーが要求する、アイコンで伝えたいことを書き込むテキスト欄があります。
このようにアート制作の前に部門間で共有しなければならない情報がたくさんあるのです。
これはお互いにコミュニケーションをとるために見通しの良い方法であり、コンテンツデザイナーは私がどれだけのことをし、どれだけのことを残したかを知ることができます。
また私が毎日何をしているかのスケジュールも確認できます。
つまりフォーカスツリーやフィーチャーにアートが必要な場合、コンテンツデザイナーは互いに優先順位を付けるように要求することもできます。
このことは私たちが一緒に(Miroを)同期させる際に常に話題に上ります。
コミュニケーションが鍵なのです!

リクエストからアイコン制作に至る過程

リクエストがどのようにアイコンに変わるかの例を以下に示します(まだ見たことがない人も見たことがある人もいるかもしれません)。

これは典型的な要求です。
ゲーム内の名前が示され、参照するイメージが提供され、コンテンツデザイナーがアイコンに何を求めているかの説明が書かれています。
また優先順位も付けられています!
管理人補足:上の画像のHが重要度「Heavy」の頭文字では無いかと思われます。

そしてこのような仕上がりになりました。
アートライブラリが充実しているので、どのような背景がベストなのか、またレイヤースタイルを再利用してアイコンのまとまりを良くしたり、他と同じスタイルにしたりと、すぐに繰り返し検討することができます。
また以下のような要望に応えられるようにしました。

  • 少なくとも1匹のロバ
  • ロバは(少なくとも)供給物を運ばなければならない
  • アイコンを密集させず、小麦の束を追加する

アイコンがコンセプトの段階(レンダリングせずに、リクエストされたものを組み合わせていく)であったり、アートライブラリから簡単にまとめ上げたりした場合は、もちろんコンテンツデザイナーと進捗を共有し、OKかNGかを判断してもらうようにしています。
アイコンについて再考する必要がある場合、あるいは10/10の美しいアイコンである場合など、リクエストに的中または失敗した場合は、それについて連絡します!
またこの種のアイコンを作る際に気をつけることは、そのサイズを覚えておくことです。
コンテンツデザイナーが要求するアイコンに必要なすべてのものが最終的に収まらなかったり、そこから意味を読みとりにくくなったりすることがあります。
これはすべての要素が一緒にまとまるとノイズが発生するためです。
そこで私たちアーティストが、アイコンの持つべき情報を損なうことなくシンプルに「引き継ぐ」のです。

また次の例はコンテンツデザイナーが、何がベストであるか、100%であるかがわからないから、私に判断を委ねる場合によくある典型的なリクエストです。

アイコンは、アートプロセス全体で同じように要求されるため、名前、説明、および重要度のすべてがそこにあります。
今回は何の参考資料ももらえませんでしたが、それは全くもって普通のことです!

そしてこれが結果です!

  • アフリカのシルエットを持っている
  • 鉄道
  • そして産業
  • そしてもちろんその全てを縁取る背景

ここでもし投資をアピールするためにコインを追加していたら、アイコンの情報が混雑していたかもしれません。
私たちは通常、必要なことを伝えるために、1つのアイコンに3要素までというルールを設けています。
3つを超えるとごちゃごちゃしてしまうのです。
このアイコンにコインを入れて投資をアピールした例です。

  • 即座にごちゃごちゃして見える
  • アフリカのシルエットがもはや焦点ではなく隠れてしまっている
  • コインが主役になる

つまりこのセクションの重要なことは次のとおりです:

コミュニケーションのための良いツールを使いましょう。
それがあなたやあなたのチームにとってどんなものであっても構いません。
何が起こっているのか、自分の役割を果たすために何が必要なのか、プロジェクトに残された時間を見積もるためにいつ何が必要なのか、正直かつ透明であることです。
コンテンツデザイナーがリサーチし、コンテンツデザイナーがアートをリクエストし、アーティストがリクエストを見て質問し、アーティストがアートを作り、アーティストがコンテンツデザイナーとアートを共有し、そうして輪が完成するのです。

さてアーティスト、少なくとも私がどのようにコンテンツを扱っているかがわかったところで、By Blood Aloneのロード画面がどのように作られたかについて共有したいと思います!

By Blood Alone ローディング画面の作成

ああ、また始まりました。
そうです、アイコンやポートレートを作るだけでなく、ロード画面を作るだけの柔軟性と知識を持つことが、どのようなものなのであるかを少しばかり復習しておこうと思ったのです。
私たちアーティストは、言ってみれば多くの仕事をこなす何でも屋であり、プロジェクトのために行う必要のあるさまざまな種類のアート・タスクに適応できる必要があります。

ではローディング画面はどのように作成されるのでしょうか?
通常は今後のDLCに深く関わっているデザイナーまたはコンテンツデザイナーのいずれかからの提案、またはビジョンからスタートします。
基本的にローディング画面とスプラッシュ画面はDLCの内容に関する何かを伝えられるようなものにしたいのですが、今回はイタリアと飛行機に注目したいと思います。
その主な理由はイタリアについて多くのリクエストが寄せられており、私たちはこの国にスポットライトを当てたいのと同時に、飛行機デザイナーを紹介したいからです!

要求としては、「イタリアの風景をめぐって、イタリアとアメリカの戦闘機がドッグファイトでやって来る」です。

かっこいいですね。それではサムネイルを作りましょう!

ここでもまた、いくつかのサムネイルが表示され、他の人が選択できるようになっています。
黒=最も視覚的に面白い、グレー=遠くにある、白/ライトグレー=焦点が低いという典型的な階層方法がここで使われています。
最後の1枚、A3+5が選ばれ、シンプルなグレースケール設定から、より詳細な情報を得るためスタート開始しました。
今回はすぐにカラー版にしたくなり、どのような設定が一番映えるかを実験し始めました。

夜景や夕暮れの雰囲気を取り入れるとより壮大に見えるようになりましたので、さまざまなスタイルを試しつつ、さまざまな配色を試してみました。

この時点で私が間違った飛行機を描いていることに気づかなかったことがおわかりいただけると思います。しかしこれはまだ作業の初期段階であり、良い雰囲気を見つけようとしているだけなので問題ではありません。

またさまざまな解像度を考慮する必要があるため、イメージのバランスが取れていないことにも気付きました。
これを解決するために画像全体の位置を下げてみたところ、(ありがたいことに)今回は空の部分を多めに描画していました!

(まだ間違った飛行機ですが気にしないでください)

レンダリングの段階が近づいていますが、正直言って硬い表面を描くのはあまり好きではありません。

でも幸いなことにチームには素晴らしい3Dアーティストがいるので、とにかくDLC用に飛行機をいくつかモデリングする必要があります!
彼は寛大にも私の背景の上に飛行機でポーズをとってくれましたが、今やその少し上にペイントするだけで、イメージに溶け込みまとまりがあるように見えてきました。

(3Dレンダリングの飛行機)

(作業中背景の上に3Dレンダリング)

次のステップで必要なのは、飛行機をより背景と一体化させることと、雲のディテールをもっと描き込むことです。
それと飛行機からまるで鼓動が聴こえてくるようにモーションブラーなどのディテールも必要なんですが、これについてはジレンマですね。
せっかくのディテールがモーションブラーで消えてしまう前に、いったいどこまで描けばいいのか?
…折り合いを見つけるのが難しいところです。

私は途中で気が付きました…飛行機をより傾け翼がより雲を切り裂くようにしたらどうなるだろうかと。
もちろん3Dアーティストに、モデルを傾けてレンダリングするよう依頼し、彼はとても親切に対応してくれました。

素敵に見えます

しかしまだ背景を考えなければなりません。
雲のレンダリングを行ったり来たり、風景を修正したりして、ようやく満足できるものにたどり着いたと思います。

モーションブラー、空気の流れ、プロペラを加え、バウンスライトや飛行機の窓に映る空を描くなどして、うまくまとまったと思います。 こうしてローディング画面が出来上がりました✨

その他のアート

そして次は全く別の話です!
もうアートの話は読み飽きたかもしれないので、この際アートネタを大量に投下してしまおうと思います。
By Blood Aloneでやってくる小さな要素をどうぞお楽しみください!

キュートなその他のアイコン

フォーカスアイコン

ポートレート:

イタリア:

スイス:

エチオピア:

By Blood Aloneの実績

そうそう、By Blood Aloneの実績も忘れてはいけませんね。
DLCごとにどんな実績ができるのか、いつも考えています。
今回は皆さんに笑顔になっていただきつつ、「まあ、簡単だな」とか、「そんな…どうやって?」と思っていただければと思います。

…and you get a canton, everybody gets a canton!

スイスとして24州を保有する

I’m not locked in here with you…

スイスとしてドイツに宣戦布告し、勝利する

Swiss Cheese

スイスでお互いまたはスイスと隣接していない5つの州を併合する

You Shall Not Pass

スイスで西スイス・アルプス、東スイス・アルプス、ティチーノを一度も失うことなく、防衛戦争に勝利する。

The Lion that Roared

エチオピアとして派閥に入ることなく、イタリアに和平を強いる。

The Lion King

ハイレ・セラシエが自分自身を「King of Kings」と宣言し、ケニアとタンザニアを支配する。

This time for Africa

エチオピアでアフリカ連合を設立し、その中にアフリカに首都を持つ少なくとも13の異なる国を含ませる。

Crusader Kings IV

エルサレムをエチオピア領にし、そこに首都を置く

The Red Sea

エチオピアで共産主義になり、紅海に隣接するすべての州を占領する。

Holy, Roman, and an Empire

教皇としてローマを復活させる

Pizza Time!

イタリアで、ニューヨーク、シカゴ、ハワイを占領する。

Collect all the Romes

イタリアで第1ローマを保持し続け、2番目と3番目のローマも獲得する。

Nothing personal, Adolf

イタリアでオーストリアを東西ドイツ統合前に占領し、ファシストドイツと同じ派閥に決して入らない(1945年以前)。

Not today

共産主義イタリアとして死の瀬戸際からグラムシを救い、彼をイタリアの指導者とし、イタリア国民連合を結成する。

This time it will stick

連合国(民主主義のイギリスと提携)として、ドイツにラインラントを武装解除させ、非武装地帯とする和平協定を結ぶ。

By Beer Alone

ドイツでブートワイス、青島、ギネスを直接、または派閥のメンバーを通じて支配する。

By merit alone

部隊長を将軍に昇格させレベルMAXにする。

Snakes on a plane

ブラジルで空挺部隊でローマを占領する

By Blood Aloneの3Dアート

もちろんBy Blood Aloneのために制作された3Dアートもお見せしなければなりません。
(まだ作業中のものもあります)

管理人注:以下数が多いため画像引用は省略します。
詳細は元サイトにてご確認くださいm(_ _)m

Tポーズをとる兵士

キュートな戦車

愛らしい飛行機

以上で今週の開発者日記、そしてBy Blood Aloneに関する最後の開発者日記を締めくくります!
長時間お付き合いいただきありがとうございました。
HOI4作品の舞台裏をお楽しみいただけたことと思います。

/CreamGene​


以上

振り返り感想

HoI4開発者日記 第276回でした。

感想および誤字脱字の訂正等は後日行います。
なんかもう疲れた…😥


2022/9/23 追記

今回はBy Blood Aloneに関するビジュアル面のお話でした。

一番興味深かったのはアイコンを作る際に盛り込む要素を3つまでにしているという点。
これはよく言われていて、私も昔習ったのでなんか懐かしかったです🙂

HoI4 公式日本語実装について

HoI4に公式で日本語が実装されるという話が2022/9/23日に、ネット上に出ています。
なんでも既存の日本語化Modを吸い上げる形を中心にして行われるとのこと。

どうやらStellarisと同じ方法でHoI4も公式日本語対応するみたいですね。
遊びやすくなって良いことですね🙂

ただ、これを書いている現時点でParadox社からまだ正式な発表が無いため、日本語化については公式のしっかりとした発表があってからまた触れたいと思います。

まだParadox社の大本営発表があるまでは正式決定かどうかなんとも言えませんしね。