Hearts of Iron IV 開発者日記 第312回目を紹介。
私のHoI4開発者日記紹介は2023年で終了の予定でしたが、今回の日記もSteamに日本語訳が掲載されていないため紹介してみます。
内容は新DLC Trial of Allegianceに伴って実装されるブラジルの史実ルートについてです。
[記事内の画像はパラドフォーラムより引用]
Hearts of Iron IV 開発者日記 2024年1月25日分(第312回)
冒頭の挨拶
将軍の皆さんこんにちは、あなたに友好的な良き隣人のコミュニティマネージャー、Kattenです。
今回はTrial of Allegiance、南米をテーマにした初のカントリーパックについて話します。
私たちの目的は、新たな国際的脅威に立ち向かうために地域の超大国を建設したり、その力を使って帝国を海外に拡大したりする力を感じることができる、スリリングな体験を作ることでした。
昨年、コンテンツ制作に特化した新チームの結成を発表しました。
Trial of Allegiance Country packは彼らの努力の結果であり、ブラジル、アルゼンチン、チリの3つの主要なフォーカスツリーを紹介しています。
さらに南米では新旧両方のタグの追加コンテンツが導入されています。
告知トレーラーをまだご覧になっていない方は、ぜひ下記よりご覧ください!
ブラジルの開発を率いるコンテンツデザイナーにマイクを渡す前に、HOIコンテンツを増やす取り組みの一環として、チームは今年後半に発表されるもう1つの大きなエキサイティングなプロジェクトにも取り組んでいることをお伝えしたいと思います。
ということで、いつものように楽しい地図の色塗りを楽しんでください!
イントロ
こんにちは!以下ではAveeBeeが、私たちが南米で行ってきた仕事を皆さんに紹介し、歴史的ルートのブラジルを深く掘り下げることから始めます!
この時期の国の歴史に詳しい人(ブラジルのプレイヤーのみなさんです!)もいるでしょうが、Smoking Snakes(管理人補足ブラジル遠征軍のこと)やブラジル遠征軍以外の歴史の分野にはあまり詳しくない人の方が多いことでしょう。
そこで1936年以前の国の概要と、それがゲームでどのように表現されているかを簡単に説明した後、エスタド・ノヴォの設立、バルガス時代、そして最終的には同盟国とともに第二次世界大戦に参加したブラジルの歴史的出来事のより細かな章に入っていきたいと思います。
1936年以前の背景
ブラジル帝国が崩壊し、共和国として再建された後、農業分野の寡頭政治家が国の経済的、政治的生活を支配しました。
これは1930年、ゲトゥリオ・バルガスが旧共和国を打倒する革命を主導したことで突然終わりを告げました。
これを受け、従来の問題を回避するための新しい共和制の確立が試みられました。
しかしバルガスを支援した様々な勢力は、最終的には誰も満足しない憲法を作りました。
この権力の空白期間の中、バルガスは大統領として国の政治を支配しました。
このような政治的混乱の中、共産党とその同盟国は1935年後半に独自の革命を企てました。
この革命は最終的には政府に忠実な勢力によって鎮圧されましたが、1936年、体制側が運動の指導者たちに判決を下し、処罰する準備を進めるなか、その影響はまだ続いていました。
さらに社会に共産主義が浸透することへの恐怖は、政治家や軍が今後、より権威主義的な政策をとることを正当化する材料となるでしょう。
ブラジルを何十年も悩ませてきたもう一つの国内問題は、分離主義の問題でした。
共和国の構成国の多くは、一度は分離を試みたかあるいは、少なくともかなりの規模の分離運動を起こしました。
これらの運動の多くは連邦政府によって無視されているという感覚から発展してきたものでした。
当時関連する問題はカンガソの問題でした。これはブラジル北東部で活動した盗賊団です。
彼らの活動は暴力的ではありましたが、その地域の富裕層に対する抵抗や攻撃を行ったため、貧困層からの支持を得ることが多かったのです。
経済面ではブラジルは大恐慌で壊滅的な打撃を受けました。
ブラジルは大部分が農業と資源の輸出を基盤とする採取経済であったため、他国がコーヒーなどの商品を輸入しなくなると経済は崩壊し始めました。
政府は状況を安定させるために様々な措置を試みましたが、1936年までは停滞したままでした。
この時期によく見られたように多くのブラジル人が貧困と不安から抜け出すために、より過激なイデオロギーに目を向けるようになりました。
外交面では、第一次世界大戦以前、ブラジルはアルゼンチンやチリの隣国と海軍の軍拡競争を繰り広げていました。
これはオスマン帝国、そして最終的には英国の手に渡ることになるリオデジャネイロのような、いくつかの有名なドレッドノート(弩級戦艦)に結びつきました。
ブラジルは第一次世界大戦中、連合国と同盟を結んでいました。
1917年にドイツが民間船を攻撃したことで、当時不人気だった政府は国の怒りを海外の敵に向けることができました。
戦間期にはブラジルは主に国内問題に焦点を当てていましたが、宿敵アルゼンチンがブラジルの内紛を利用するのではないかという不安が残っていました。
ゲームではこれらの問題を、国が繁栄したり拡大したりするために克服しなければならない多くの国民精神として表現しています。(以下のアイコンはリリース前に変更される場合があります)
1936年~1938年
ゲームが始まる時期は、欠陥のある1934年の憲法の制約の下で権力を維持しようとするバルガスを中心に展開されます。
この開発者日記を通してわかるように、バルガスは奇妙な人物で、私たちが指導者を配置する通常の政治的カテゴリーからは幾分外れています。
彼はリベラル改革の波に乗って権力を握りましたが、最終的には現代のファシズムのテナントに媚び、最終的には自分の権力を維持するために民主主義を停止しました。
しかし彼はまた、農村部の貧困層と都市部の労働力にアピールする改革を実施するつもりでもありました。
これらをゲーム内で表現するため、バルガスは与党の民主的な臨時政府のリーダーとしてスタートしますが、彼は長い間その状態という訳ではありません。
次にフォーカスツリーの史実部分を見てみましょう。
お分かりかと思いますが、史実部分はalt-history(仮想歴史)の部門と重複している部分もあります。ですが後日の日記のため隠しておきます。
この部門の最初の部分は、self-coup(自己クーデター)を組織できるだけの十分な支持を軍やファシスト運動の間に構築する必要があります。
スクリーンショットのWeak Government(弱い政府) とState of Emergency(非常事態宣言)の国民精神以前の部分で見られるように、ブラジルは非同盟と共産主義者の支援を着実に増加させる時限爆弾を抱えてスタートしています。
そのためプレイヤーはできるだけ早く共産主義の影響力を抑えることに集中する必要があります。
歴史的にはバルガスは強硬な反共姿勢で軍の支持を得ました。
その一方で共産主義に傾倒する可能性のある都市労働者にアピールするため、彼は自分の主張に統合主義運動を取り込もうともしました。
インテグラリズム運動については、後ほどの開発日記で説明しますが、今のところは、イタリアのファシズムに対するブラジルの解釈と考えてください。
十分な反共/民主主義の支持を得ると、The Cohen Plan(コーエン計画)のフォーカスに達します。
歴史的には、この名称で呼ばれる文書は政府と連携した勢力によって偽造されたものです。
この文書は共産主義者によるブラジルの乗っ取り計画を概説したものとされ、政府が国を守るために使用されている一連の権威主義的な措置を正当化するために使用されました。
この文書は完全な偽造であったにもかかわらず、バルガスは民主主義を停止することに成功しました。
ゲームではこのフォーカスを取得するには、次のEstado Novo(エスタド・ノボ)のフォーカスを完了する必要があります。
バルガス時代
Estado Novo(エスタド・ノボ)、あるいはNew State(新国家)はブラジルの民主主義の当面の終了を示します。
バルガスが権力を維持している間、彼のイデオロギーは与党政府と非同盟に切り替えられます。
権力の掌握を固めるため、バルガスは1934年の憲法の非常事態権限を利用しただけでなく、当時のポーランド憲法に触発された全く新しい権威主義的な憲法を起草しました。
このツリーの左側には、分離独立運動を抑制し(Decree Number 37:法令第37号―このフォーカスは分離独立運動の国民精神を除去します)、政治運動を弾圧し雇用を増加させることによって安定性を高めることによって新憲法の利用を表す多くのフォーカスがあります。
ツリーの中央には、経済の活性化、国家の情報サービスと研究能力の拡大に関連するインテグラリストのルートと共通する多くのフォーカスがあります。
産業部門
史実フォーカスツリーの外交政策的側面に触れる前に、産業部門を見てみましょう。
前述した世界恐慌の影響により、ブラジルはコーヒーと原材料の輸出依存を克服し、国内の産業基盤と消費経済を構築することを第一の目的としています。
歴史的に見てこれに向けた第一歩は、コーヒー輸出の供給と価格をより良く管理するためのコーヒー部門の設立でした。
この頃ブラジルにも多くのラジオ局が設立され、国民に情報を提供し、楽しませていました。
多くは最終的にはバルガス政権のプロパガンダの発信地になるでしょうが。
この部門のフォーカスの多くは、歴史的に無視されてきたブラジルの多くの州の修正効果と相互作用しています。
例えば、Resource Extraction(資源抽出)のフォーカスは研究ボーナスを与え、無視された状態の修正効果のペナルティを減らします。
これらのフォーカスの多くは、さまざまな手段を通じて産業、インフラ、効率性を拡大し、皆さんになじみのあるものです。
そこでこの部門の最後の方にスキップして、ブラジルのよりユニークなフォーカスをいくつか見てみましょう。
ここでは最後に2つのフォーカスがあり、プレイヤーは国内の自動車会社を設立するか(Arms Against Tyranny DLCありでプレイする人のための軍事産業組織の形を取るか)、Fordlandia(フォードランディア)の拡張を通じてフォード自動車会社との関係を拡大するかを選択することができます。
フォードが自動車タイヤ用ゴムの生産を拡大するために植民地を築いたブラジルの歴史の中で、フォードランディアは魅力的な部分です。
第二次世界大戦中、ゴムの入手は連合国にとって極めて重要になり、ブラジルはその需要に応えようとしました。
また、この部門には、ブラジルが歴史的に見て数年早く現在の首都を設立することができるような軽い仮想歴史的な要素もあります。
また、この部門にDeal with the Cangaço(カンガソを扱え)と呼ばれるフォーカスがあることに気づいたかもしれません。
ブラジル北東部の多くの州では、Cangaçoが活動しているという負の修正効果でゲームをスタートします。
時折、安定性を低下させたり、新しい国家に影響力を拡大させたりするようなミッションが彼らによって実行されることがあります。
したがって前述のフォーカスは、それらの状態からマイナスの修正効果を削除する法執行活動が行われることを可能とする決定をアンロックします。
私たちはCangaçoとの興味深い別のやりとりをいくつか持っていますが、それについては仮想歴史についての開発者日記で紹介します。
第二次世界大戦
史実ルートの政治部門に戻りましょう。
ブラジルの国内・経済情勢が安定すれば、関心は外交に移ります。
歴史的にバルガスと彼の政権は、ブラジル共和国の民主主義体制の多くを解体しました。
そのため枢軸国はブラジルとの貿易促進に熱心であり、米国はブラジルがファシズムと連携することを懸念するようになりました。
そのため民主主義の崩壊に対する懸念にもかかわらず、米国はブラジルが米国との同盟関係を維持することを保証するよう、バルガスを説得しようとしました。
ブラジルを揺さぶる米国の試みの多くは、例えば、ブラジル北東部に米空軍の空軍基地を設置する代わりに、リオデジャネイロ近郊の大規模な鉄鋼生産施設の建設を支援するなど、経済的・軍事的支援から成っていました。
しかしこの米国との連携は、ブラジルの長年の敵であるアルゼンチンが、米国の報復を恐れて彼らを敵に回すのを阻止する役割も果たしていました。
第二次世界大戦がヨーロッパで勃発すると、英国が管理するゴムプランテーションや海を渡る供給ラインへのアクセスが枢軸国の妨害に対して脆弱になったため、ブラジル産ゴムやその他の資源の需要が増加し始めました。
ブラジルと連合国の関係が深まるにつれ、ドイツのUボートは大西洋でブラジルの船舶を攻撃し始めました。
これによりブラジルは1942年にドイツに宣戦布告しました。
ゲーム内ではブラジルが米国と協力していくつかのボーナスを得ることを選択することができますが、米国はブラジルが2年以内に戦争に参加することを期待することになる、多くのフォーカスと決定でこの状況を表しています。
もしそうしなければ、米国はブラジルが将来より良い決定を下すことを保証するために軍事的に「介入」することになるでしょう…。
もちろん戦争に参加することで、象徴的なブラジル遠征軍が作られ、それに合わせて多くの新しい3Dモデルが作られます。
史実ではブラジル遠征軍はイタリアで戦い、枢軸軍を倒す上で重要な役割を果たしました。
しかし戦争に勝つためにどのように軍隊を配置するかは、もちろんプレイヤー次第です。
スクリーンショットの中には、一部、仮想歴史のフォーカスを選んでいるものがあります。
今後数週間のうちに仮想歴史ブラジルについて議論する際に、それらについてさらに詳しく説明します。
軍事部門
さて、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこれまでフォーカスツリーの政治的・経済的側面に焦点を当ててきました。
心配しないでください、ツリーを仕上げるため、別途軍事部門もあります。
このDLCで展開している多くの国は、ゲーム開始時にかなり似たような軍事能力と問題を持っているため、私たちはすべての新しい国が利用する中核的な軍事部門を作成することを決定しました。
しかし、各国には自国の歴史のよりユニークな側面をよりよく表現するため、この部門を中心に構築された独自のフォーカスと効果があり、国固有のアイコンなどもあります。
上のスクリーンショットに見られるように、この部門には陸軍、海軍、空軍の異なるサブ部門が含まれています。
これらの下部組織の意図は国が類を見ないほど強い状態になることなく、真にオーダーメイドの軍隊を作るための可能な限り多くの選択肢を与えることです。
しかしツリー全体を完全に活用してブラジルを軍事大国にすることができないというわけではなく、それは十分に可能です。
終わりに
以上で私たちが皆さんのために用意しているものについて、少しは理解していただけたかと思います。
いつものように何か質問があれば、以下に投稿してください。
数週間後にはこの日記に続いて、ブラジルの仮想歴史について日記を書く予定です。
しかし来週のところはアルゼンチンの開発者日記を楽しみにしてください。
読んでくれてありがとうございました!
以上
振り返り感想
HoI4開発者日記 第312回でした。
まずはあけましておめでとうございます(遅)。
2024年もよろしくお願いいたします。
開発者日記の紹介はもう終了にする予定でしたが、Steam上での日本語公開版が最近また作られなくなっています。
こうなんというか、方向性が一貫しないのでユーザーとしては困まるんですが、一方でサイト運営のネタとしては日本語版が無い方が良いという面もあります😅
とりあえず今年も日本語紹介は続けていこうと思いますのでよろしくお願いいたします。
来週はアルゼンチンの開発者日記とのこと。
ボリュームによっては記事作成に時間を要するため、日記公開が遅くなるかもしれません。
ご了承くださいm(_ _)m
正確を期すよう努めていますが詳細はパラドックスサイトの原文をお読みください。